熱が出てしまったときや、身体のどこかに痛みを感じたときに症状をすぐに緩和してくれる解熱鎮痛剤はとても有用なものです。
少しの痛みであっても、薬を飲めばすぐに良くなるから、と頻繁に鎮痛剤を服用している人も少なくないのではないでしょうか。
医師の処方箋無しに購入できる解熱鎮痛剤だけでなく、市販のものにも効果の高いものが多く販売されており、痛みを我慢することは少なくなってきました。

一見身体を助けてくれているように見えるこれらの薬ですが、身体にとって薬剤というのは単なる毒物でしかありません。
長期の服用に伴うリスクや、疾患や体質などによる服用してはいけないケースについてしっかりと理解しておく必要があります。

鎮痛剤は使い過ぎると効き目がなくなる?

解熱鎮痛剤 解熱鎮痛剤の多くは、体温調節の中枢に作用したり、皮膚表面の血管の拡張の促進によって放熱を促したりすることで上がりすぎてしまった体温を下げる働きを持ちます。
また、痛覚の神経に作用して神経の興奮を抑えることで痛みを抑制します。
更に痛みを伝える化学物質の発生を抑制することによっても鎮痛効果を発揮する薬です。

解熱鎮痛剤を服用し続けていると耐性がついて効かなくなってしまうという話を聞いたことがある人は多いでしょう。
耐性とは、その薬を投与した初期に得られていた薬理学的な効果が時間の経過とともに減退していき、同等の効果を得るためにより多くの薬物の投与量が必要になるという現象です。
よく耳にする、鎮痛剤を飲み続けていると効き目がなくなってしまうというものは、厳密には正しい情報ではありません。

確かに、ある種の薬には飲み続けることによって効果がなくなってきてしまうことがあります。
がんの疼痛に用いられる麻薬性の薬剤や、気管支喘息に用いる薬剤では耐性が大きな問題となるため、投与の際に耐性対策のために注意が必要です。
そのためこれらの薬剤が処方されるときは、薬剤師や医師が投与量を微調整するなどして対応がなされています。
また、アルコールを常飲している人には全身麻酔薬が効きにくくなるといった、体質的な薬物耐性も知られています。

しかし、一般に鎮痛剤として今現在経口投与される薬物の中には耐性を生じるものはありません。
鎮痛剤を飲んでいて効き目が弱くなってしまったと感じる場合は、薬自体の効果が出にくくなっているのではなく、痛みの原因が強くなっているか、体質が変化してしまったことが考えられます。

痛みは、身体のどこかで起きている異変や病気を知らせるための大切な合図です。
その痛みを解熱鎮痛剤で強制的にブロックしてしまうと、異変や病気の発見が遅れてしまう可能性があります。
そのため、知らないうちに痛みの原因となっている疾患が悪化してしまったり、痛みを適切に伝えるために発痛物質が増えてしまったりという理由によって痛みが増強すると、初期の薬物量と同量では同じ鎮痛効果が得られなくなってしまいます。

また、頭痛が原因で鎮痛剤を常用している人で、薬を飲んでも頭痛が治まらないという場合は、鎮痛剤自体が頭痛の原因になっている可能性があります。
この症状を薬物乱用頭痛と呼び、中等度から重度の片頭痛を繰り返し起こす患者さんに発症することが多い疾患です。
繰り返し起こる頭痛に対処するために、服用量を自己判断で増やしたり、服用時間を短縮してしまう事が原因になります。

薬物の過剰摂取によって、痛みに対する神経の閾値が下がります。
閾値が下がるというのは、痛みに対して身体が敏感になってしまうということを表します。
薬物乱用頭痛は、原因になっている鎮痛剤の服用中止と、薬物中止後に発生する頭痛への原因薬物を使わない対処を行うことで治療することが可能です。

1カ月に10日以上鎮痛剤を服用しているという人は、薬物乱用頭痛になっている可能性があります。
心当たりのある人は、医師や薬剤師など専門家に相談することをおすすめします。

医師に処方された薬剤や市販の解熱鎮痛剤を、決められた用法用量を守って服用している場合は効き目がなくなるという心配はありません。
しかし、一度に飲む量を勝手に増やしたり、間隔を定められた時間きちんと開けずに飲んでいたりすると、薬物乱用頭痛になり慢性的な頭痛を発症するリスクがあります。

また、過剰な薬物摂取は肝臓や腎臓など、大切な臓器に大きな負担をかけるため、その他の疾患を発症してしまう可能性もあります。
薬について自己判断は禁物です。
今飲んでいる薬では痛みに対処できなくなったり、気になることが出てきたりした場合は、必ず診察を受け医師や薬剤師に相談するようにしてください。

解熱鎮痛剤など薬の使用期限とは

薬を飲もうとする人 家にあった、いつのものかわからない鎮痛剤を飲んでしまっている人はいないでしょうか。
薬も食品と同様に消費期限があります。
薬の使用期限は、製造から2年程度のものが多いですが、成分や剤形によって安全に使用できる期間は様々です。
使用期限が過ぎた薬は効き目が弱くなっていたり、場合によっては中の成分が変質して身体によくない影響を及ぼしたりする可能性があります。
薬を飲むようなときはただでさえ身体が弱っているため、異物の影響を受けやすくなっています。

ドラッグストアなどで購入することができる市販薬では、箱などの容器や外の包装に消費期限が記載されています。
開封した後も箱などのパッケージは捨てずに必ず取っておくようにしてください。
ここに記載されている使用期限は、開封しなかったときの期限です。
外の包装をとってしまうと、空気や光の影響を受けて薬剤が分解されてしまうことがあります。
保存状態には十分注意する必要があります。

未開封であっても、保存状態によって薬が変質してしまうことがあります。
購入から2年以上経ってしまった場合や、保存状態に不安がある場合は処分した方が良いでしょう。
薬の色が変色していたり、表面の様子が変わっていたりしている場合は飲まないようにしてください。
また、錠剤より粉薬やシロップ剤は変質しやすいため、飲む前に確認することをおすすめします。
粉薬では、1度に個包1つ分を使いきらない場合も多いです。
残りをとっておく場合は、なるべく早いうちに使いきることをおすすめします。
1,2日で使いきると安心できるでしょう。

市販薬のパッケージが大きく持ち運びにくかったり、飲みやすいように別の容器に入れておきたかったりという理由で、錠剤をパッケージから出してしまう人がいますが、決してやらないようにしてください。
使用期限内であっても、空気に触れた状態で長時間たった薬は成分が吸湿や酸化によって変質してしまう可能性が大変高いです。
飲む直前に外に出して飲みましょう。

病院で診察を受けたときにもらった薬剤は、使用期限が記載されていない場合が多いです。
保管や管理は薬局の薬剤師が行っているため、保存状態によって飲むときに異変が起きていることはまずないでしょう。
また、決められた期間分の薬が処方されているため、薬自体の使用期限内に必ず飲みきることができるはずです。

万が一飲み忘れや自己判断での中止で自宅に処方薬が残っている場合は、その薬はすぐに処分するようにしてください。
ただ、同じ症状で日常的に飲んでいるものや、処方されたのが比較的最近で、また同じ症状が原因の痛みを生じている場合は、薬局薬剤師や医師に相談に行くようにしてください。
基本的には症状に応じて医師が服用量を決めて処方しています。
処方された薬は症状が治まっても、最後までのみ続けましょう。

鎮痛剤の中には湿布薬など、飲み薬ではないものもあります。
湿布薬や塗り薬は、変質により皮膚に影響を与えることがあるため、使用期限内であっても開封から長期間経ってしまったものの使用には十分な注意が必要です。
不安な場合は使用を控えたり、購入したところへ相談したりするようにしてください。

薬は温度が高く、湿気の多いところにおいてある程劣化が早くなります。
直射日光を避け、風通しの良いところに保管しておくと良いでしょう。
シロップ剤や粉薬は、密閉できる容器やジップロックを使って保存しておくと安心です。

薬剤の廃棄は、薬局やドラッグストアに持ち込んでやってもらうことができますが、基本的には燃えるゴミに出してしまって問題ありません。
しかし、一部の作用の強い鎮痛剤の中には、自宅で処理をしてはいけないものもあります。
そのようなものは処方された際には薬剤師から説明がありますが、自宅で処理をせずに処分する資格がある薬剤師がいる薬局に必ず持っていくようにしてください。

解熱鎮痛剤を服用できないケース

世界中で服用されている解熱鎮痛剤ですが、服用を避けるべき疾患がいくつかあります。
まずは高血圧についてです。
高血圧は多くの人が罹患しており、降圧薬で血圧を下げている人も多いでしょう。
血圧が正常範囲にコントロールされている状態であれば、高血圧患者が服用を禁止されている薬剤は多くありません。
しかし、注意が必要な薬剤があり、そのうちの1つが解熱鎮痛薬です。
鎮痛薬では、腎臓に入る血液を減少させることで、ナトリウムイオンや水分を身体に貯蔵する性質を持ちます。
身体に水分が溜まると血液量が増えるため、血圧が上昇してしまいます。

高血圧の患者の血圧がさらに上昇してしまうと、血管への障害や心臓への負担が増大するため危険です。
血圧が高い人が鎮痛剤の服用をする際は医師や薬剤師など専門家の意見を聞きましょう。

心筋梗塞などをはじめとした心臓病を起こしたことがある人や、心臓に関して疾患を持っている人が服用する際にも注意が必要です。
心筋梗塞や血管に血の塊が詰まってしまう事によっておこる病気であるため、治療や予防のために、血の塊の原因になる血小板が固まるのを防ぐ抗血小板薬を服用している場合が多くあります。
この抗血小板薬を飲んでいると血が止まりにくくなる状態になります。
鎮痛薬では、胃壁などに障害を与える有害作用が出ることが多いため、抗血小板薬と同時に服用すると臓器内で出血が起きてしまう可能性があり、大変危険です。

心臓病の患者が鎮痛薬を服用することによるリスクは、鎮痛薬を飲まない場合の2倍にも上るとされているため、十分注意する必要があります。
出血のリスクに加えて心臓病の再発の危険もあるため、服用には注意が必要です。

糖尿病の方も鎮痛剤の服用には気をつけなければいけません。
鎮痛剤の中には、交感神経刺激作用を持つものがあり、これは血中のグルコース濃度を上昇させます。
また、末梢血管を収縮させる作用によって血圧が上昇すると、糖尿病が悪化する恐れがあるため、鎮痛剤の服用は避けるのが賢明です。

また、糖尿病の治療のために投与するインスリンは、ある種の鎮痛剤によって作用が強められることが知られており、二つの薬剤を合わせて使用することが大変危険な場合があります。
更に、鎮痛剤自体が血糖値を下げてしまうこともあり、インスリンとの効果が重なり低血糖を起こす可能性も考えられます。
糖尿病の治療を受けている方は、鎮痛剤の購入の際に自分が服用している薬との飲み合わせを薬剤師に確認するようにしてください。

アルコールを毎日大量に飲んでいる人も解熱鎮痛剤の服用を避けたほうが良いことがあるため、アルコールを飲む習慣のある人は注意が必要です。
お酒をたくさん飲んでいると、アルコールの代謝のための酵素が活性化します。
アルコール代謝酵素は一部の鎮痛剤を毒へと変える働きを持つため、飲酒と鎮痛剤の服用が重なると身体に毒が蓄積してしまいます。
この毒は肝臓に作用して重篤な肝障害を引き起こす可能性があるため、大変危険です。

タバコと薬の相互作用についても考えなければいけません。
アルコールと同様に、タバコを吸うことで誘導される酵素があります。
その酵素は、鎮痛剤など多くの薬を分解してしまうため、薬の効果を弱めてしまう可能性があります。
タバコを一日に20本以上吸う喫煙者にこのタバコと薬の相互作用は起こりやすいといわれているため、心当たりのある人は注意が必要です。
また、受動喫煙によっても影響が出ることがあるので、身近に喫煙者がいる場合も気をつける必要があります。

簡単に購入でき、服用するハードルが低い解熱鎮痛剤ですが、使用に際して注意が必要なケースも数多くあります。
小さな薬でも身体への影響は大きく、命にかかわる危険を伴う可能性も高いため、少しでも不安がある場合は薬局薬剤師や医師など、専門家への相談がおすすめです。

参考サイト

解熱鎮痛剤について下記サイトを参考に致しました。
解熱剤 – 鎮痛剤・消炎剤@通販

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